日本経済新聞 2014年2月22日より
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休廃業・解散 最多3万社 高齢化進み後継者難
資産が負債を上回っているにもかかわらず事業の継続を断念する企業が増えている。昨年は約3万社が休廃業や解散と過去最高となった。背景には経営者の高齢化と後継者不足という構造的な問題がある。新しい企業の開業は低水準のままで企業の新陳代謝は進んでいない。成長産業への構造転換を進めるには、開業を促す環境づくりが課題となる。
昨年4%増、10年で倍
東京商工リサーチが資産を負債を上回った状態での企業活動の停止を「休廃業」、商業登記などで解散が確認された場合を「解散」として集計した。それによると、昨年の休廃業・解散件数は2万8,943件に達し、前年比で4%増えた。2003年の1万4,181社から2倍以上に膨らんだ。02年以前の統計はないが「バブル期は開業が活発だった一方で廃業は少なかった。現在の廃業数は歴史的に最多水準」(東京商工リサーチ)という。
休廃業が増える一方、景気回復を背景に倒産件数は減っており、13年は22年ぶりに1万1先見を下回った。08年のリーマンショック以降、休廃業・解散と倒産の合計数は4万件でほぼ横ばいだ。
景気の回復局面でも休廃業が増えている要因は後継者不足と経営者の高齢化だ。群馬県伊勢崎市の金属メッキ加工会社「小泉製作所」は昨年2月に廃業した。経営者の男性は「地元企業と順調に取引が続いていたが、息子たちをはじめ、後を継いでくれる人がいなかった」と語る。都内で医療用品の卸売業を営んでいた男性も「事業はうまく行っていたたが、80歳を超えてしまい体力的に続けていけなくなった」という。
中小企業白書によると、小規模事業者の6割は後継者難を廃業の理由にあげている。提督データバンクの調査では、社長の平均年齢は1990年以降一貫して上昇基調をたどり、昨年は58.9歳と過去最高を更新した。そのうち60歳代以上は半数を占め、70歳代も2割弱に上る。
東京商工リサーチの友田信男・取締役情報本部長は「高齢化や後継者難のほかに、景気回復により業績が回復し、今なら痛みを伴わない休廃業や解散ができる環境が整ってきたという側面もある」と指摘する。
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