日本経済新聞 2014年1月10日より
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個人事業 再生促す 金融庁 債務免除時の税軽減
金融庁は中小企業の再生支援策を拡充する。経営が振るわない個人事業者が均衡から債務免除を受ける際に税負担を軽くする制度を作る。官制ファンドの地域経済活性化支援機構を通じて専門家を派遣し、再生策を助言する。企業が不採算部門から撤退したり再挑戦しやすい環境をつくる。
金融庁が4月に作るのは、個人事業者向け事業再生税制だ。保有する建物や設備等の評価損を費用(損金)に算入できるようにして、債務免除(貸し手の銀行にとっては債権放棄)の際に生じる所得税を軽減する。損金算入は事業が使っている設備や建物などが対象で、不動産や事業とは関係のない自宅は含まれない。
いまの税制だと個人事業者が銀行から債務を免除してもらうと、その分だけ利益(債務免除益)がでたとみなし、課税の対象になる。個人事業者は税金を払えず、債務免除に二の足を踏む一因となっていた。
経営の立て直しには、地域経済活性化支援機構を活用する。地銀などと共同でつくるファンドが支援先に企業再生の専門家を派遣する機能を追加する方向だ。これまでファンドや金融機関に限り派遣を認めていたが、新たに国が紹介するコンサルタントや公認会計士、弁護士、銀行などの出身者を直接支援先に派遣できるようにする。
機構の出資機能も見直す。個別の意思決定に口を出さず資金の出し手にに徹する「LP」という手法を加える。民間の再生ファンドには官民ファンドが丸抱えで支援すれば民業を圧迫するとの不満がある。純粋な投資家に徹する機能に限ることで民間の批判に配慮する。金融庁は機構法改正案を通常国会に提出する。
同庁は2013年9月の監督方針で銀行に資金供給を拡大するように促しており、その前提として中小企業の再生を重視している。2月から適用する中小企業向け指摘整理の新指針でも、最大460万円程度の生活費などの財産を経営者の手元に残すことを認め、中小企業の再起を促す。
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